知人の知人というツテを辿ると世界中の人は平均6人程度の隔たりしかないという説があります。
6(人)という数字は信憑性がもうひとつですが、60億を超える世界人口でも意外と世間は狭いようです。
「6次の隔たり」を広めることになったアメリカの心理学社が行った実験は「スモールワールド実験」と呼ばれています。
FacebookやmixiなどのSNSも、独自に「スモールワールド実験」を行っています。
2011年11月にFacebookが発表した調査結果によると、7億2100万人のユーザーで、平均4.7人の隔たりだったそうです。
映画「フットルース」「アポロ13」などに出演した俳優ケビン・ベーコン。
彼は「ハリウッドの全員が自分の共演者か、共演者の共演者だ」と言ったそうです。
彼と世界中の俳優を「共演者」というツテで結んだときの隔たりを「ベーコン指数」と呼んで、任意の(日本の俳優でも)俳優の氏名を入力すれば彼と何次の隔たりであるか表示するサイトがあります。
https://oracleofbacon.org/
これによると古今東西のほとんどの俳優はベーコンと3次の隔たり以内で収まってしまうそうです。
試しに渥美清(kiyoshi atsumi)と入力してみたら3次の隔たりでした(^^)
さて、スモール・ワールドとはいったい何なのか。
ここまで書いてきた内容は人と人を繋ぐネットワークです。
世界中の人を「知人」で結ぼうとしたとき、突出して「知人の多い人」の存在によって意外と短い経路で繋がることがわかってきたのです。
この「経路が短い」世界を「スモール・ワールド」と言います。
「経路の集中」があることによって任意の2点間の経路が劇的に短くなっているわけです。
なんだかアタリマエのような気がしますが、人工物でも自然のものでも、とにかくこの構造を持つネットワークの多いこと多いこと...
脳のニューロンネットワークなどの神経系
食物連鎖などの生態系
インターネット(WWW)
河川水系
電力網
航空網
などなど...
そして、
百万匹もの蛍が同調して明滅する仕組み
コオロギの鳴き声が同期する仕組み
なども「スモールワールド」が関与しています。
共通の設計者などいないはずのこれらのネットワーク(複雑な世界)がほぼ同じ構造(単純な法則)をしていることはとにかく驚きです。