(2020.03.17 特異度考慮版をアップしました)
(2020.03.18 エクセルの間違いを修正しました)
ソフトバンクの孫氏が簡易PCR検査の100万人分無償提供をtweetして批判されました。
これは「無作為」に「単一の判断材料で」検査を行うことが問題だからです。
このことは医療従事者であれば常識で、例えば国民全員に一斉にエイズ検査を実施したらパニックになると言われています。
モンティホール問題で有名なマリリン・ヴォス・サヴァントも著書「論理思考力トレーニング法―気がつかなかった数字の罠」の中で書いていますが、名だたる医学博士が何人も間違うほど注意が必要なことです。
なぜ「無作為」に「単一の判断材料で」検査してはいけないのか、理由は簡単です。
仮に国民の0.1%(1,000人に1人)がウィルス保持者であるとします。
そして簡易PCR検査の精度を99.9%とします(1,000件に1件程度間違えることがある)。
この想定で無作為に100万人に実施した場合を考えてみます。
100万人のうち1,000人がウィルス保持者です。
99万9千人は非保持者です。
99万9千人の非保持者のうち99.9%の998,001人は「正しく陰性」と出る。
99万9千人の非保持者のうち0.1%の999人は「誤って陽性」と出る。
1,000人の保持者のうち99.9%の999人は「正しく陽性」と出る。
1,000人の保持者のうち0.1%の1人は「誤って陰性」と出る。
このエクセルファイルはここからダウンロードできます。数値をいろいろ変えてみると分かりやすいかと思います。
ウィルス保持者の999人が「正しく陽性」と判定される一方で、非保持者からも999人が「誤って陽性」と判定されます。
つまり陽性と出たとしても「正しく陽性」なのか「誤って陽性」なのかは半々ということです。
ウィルス保持者の想定割合がもっと低い場合はさらに信用できない数字になります。
問題点は冒頭に書いたとおり「無作為」に「単一の判断材料で」検査を行うことにあります。
検査前にウィルス保持者である蓋然性が高ければ、信頼度はそれほど損なわれません。
半々くらいの可能性がある人を対象に検査すれば検査の精度どおり99.9%の信頼度となります。
こういった間違いがおきやすいので医療の現場などでは検査方法などについて注意喚起されています。
普通は病気の診断等は当該検査以外の兆候や症状と併せて判断するわけです。
(以下 2020.03.17 追記)
特異度を考慮したエクセルファイルをアップしました。
このエクセルファイルはここからダウンロードできます。特異度考慮版です(2020.03.18 修正版アップしました)。