本編で省略した極限の取り方を説明します。
まず、ある固定の正の数 h を n 個足した数の極限を考えます。 h+h+h+⋯+h=nh ここで n を無限にすると limn→∞nh=∞ h がどんなに小さな数でも固定の正の数なら無限に足せば無限大です。
また、分子が一定の数で分母が無限大の場合の極限はゼロになります。 limn→∞1nh=0
では本編で使われた極限を考えてみましょう。
limn→∞rn
r は 0<r<1 を満たす数でした。
なので正の数 h を使って
r=11+h
と書くことができます。よって
limn→∞rn=limn→∞(11+h)n=limn→∞1(1+h)n
ここで
(1+h)n=nC0×1n×h0+nC1×1n−1×h1+nC2×1n−2×h2+⋯+nCn×10×hn=1+nh+n(n−1)2h2+⋯>1+nh
(注)すべての項が正で、その一部を残して他は無視しているので、必ず (1+h)n より小さくなる
よって
limn→∞rn=limn→∞1(1+h)n<limn→∞11+nh=0
(分母を小さいもので置き換えたので元の式より大きくなる)
(分子が定数で分母が無限大なのでゼロ)
rn は r が正なら n がどんな値でも正(ゼロより大)なので、
0<limn→∞rn<limn→∞11+nh=0
となり、
limn→∞rn=0
という結論になります(はさみうちの原理)。
次に
limn→∞nrn
です。同様に
r=11+h
とおくと
limn→∞nrn=limn→∞n(11+h)n=limn→∞n(1+h)n
今回は分子に n があるので少しだけ複雑です。
でも同様にして (1+h)n を考えると
(1+h)n=nC0×1n×h0+nC1×1n−1×h1+nC2×1n−2×h2+⋯+nCn×10×hn=1+nh+n(n−1)2h2+⋯>n(n−1)2h2
(注)先ほどと同様に一部を残して無視しているので、必ず (1+h)n より小さくなる
よって
limn→∞nrn=limn→∞n(1+h)n<limn→∞nn(n−1)2h2=limn→∞2(n−1)h2=0
(分母を小さいもので置き換えたので元の式より大きくなる)
(分子が定数で分母が無限大なのでゼロ)
先ほどと同様にはさみうちの原理により
limn→∞nrn=0
となります。