天井を考慮する場合、初当り時平均回転数をどのように考えれば良いかまとめておきます。
初当り確率:\(r\)
天井回転数:\(M\)
初当り時回転数:\(x\)
それが起こる確率:\(p(x)\)
\(x\) | \(1\) | \(2\) | \(3\) | ... | \(M-1\) | \(M\) |
\(p(x)\) | \(r\) | \((1-r)r\) | \((1-r)^2r\) | ... | \((1-r)^{M-2}r\) | \((1-r)^{M-1}\) |
\(x=M\)の確率\((1-r)^{M-1}\)は\(r\)がかかっていないことに注意してください。
天井500なら499回転外れたら次は無条件に天井到達なので、499回外れる確率が天井到達確率です。
天井を考慮した「初当り時平均回転数」とは、この\(x\)の期待値(平均値) \(E_x\) のことです。上段と下段をかけたものを合計します。早速計算してみましょう。
\[ \begin{align} E_x =&r + 2(1-r)r + 3(1-r)^2r+...+ (M-1)(1-r)^{M-2}r+ M(1-r)^{M-1}\\ =&r(1 + 2(1-r) + 3(1-r)^2+...+ (M-1)(1-r)^{M-2})+ M(1-r)^{M-1}\\ \end{align} \]
ここで \[ \begin{align} S=1 + 2q + 3q^2+...+nq^{n-1}\\ \end{align} \] のとき \[ \begin{align} (1-q)S=\textcolor{orange}{1 + q + q^2+...+q^{n-1}}-nq^n\\ \end{align} \] オレンジ部分は \[ \begin{align} \textcolor{orange}{1 + q + q^2+...+q^{n-1}}=\dfrac{1-q^n}{1-q}\\ \end{align} \] なので、 \[ \begin{align} (1-q)S=\dfrac{1-q^n}{1-q}-nq^n\\ \end{align} \] よって \[ S=\dfrac{1-q^n}{(1-q)^2}-\dfrac{nq^n}{1-q}\\ \] \(q\)を \(1-r \)として \(n\)でなく\(M-1\)までとして\(E_x\)の式に当てはめれば
\[
\begin{align}
E_x =&r(\dfrac{1-(1-r)^{M-1}}{r^2}-\dfrac{(M-1)(1-r)^{M-1}}{r})+ M(1-r)^{M-1}\\
=&\dfrac{1-(1-r)^{M-1}}{r}-(M-1)(1-r)^{M-1}+ M(1-r)^{M-1}\\
=&\dfrac{1-(1-r)^{M-1}}{r}+(1-r)^{M-1}\\
=&\dfrac{1}{r}(1-(1-r)^{M-1}+r(1-r)^{M-1})\\
=&\dfrac{1}{r}(1-(1-r)^{M-1}(1-r))\\
=&\dfrac{1}{r}(\textcolor{orange}{1-(1-r)^{M}})\\
\end{align}
\]
オレンジ部分は天井までに少なくとも1回当たる確率で\(\dfrac{1}{r}\)は初当り確率の分母ですから、確率分母に天井までに当たる確率をかけたものが「初当り時平均回転数」となることがわかります。
ちなみに\(M→∞\)とすれば(\(1-r)^{M}→0\)で「初当り時平均回転数」は確率分母そのものになります。
1/199.8で天井500なら「初当り時平均回転数」は
\(E_x=199.8 \times(1-(\dfrac{198.8}{199.8})^{500})=\textcolor{orange}{183.54}\)回転
となります。