第7回 やさしい確率講座2
ミニで出てない数字を追え!

今回は前回に引き続き、確率の計算方法をナンバーズを題材に解説します。
今回の題材はミニで未だ出ていない数字です。
第270回までに出ていない数字は「01」「46」「49」「53」「78」の5つです。
100分の1の確率のミニとしては、270回も抽選して出てない数字が5つもあったらおかしい?
さあ、調べてみましょう。

1.問2

ナンバーズ3のミニにおいて、270回の抽選で一度も出現しない数字が5つである確率を求めよ。

前回にならって問題を数学的に簡潔にしましょう。
複数回の抽選結果による数字の出方を「全く出ない」か「少なくとも一回は出る」かに分類します。問題では「全く出ない」数字が5つとなってますが、このとき残りの95個の数字は「少なくとも1回は出て」いるはずです。
この問題で気をつけなければならないのは、5個の結果だけでなく他の95個についても「少なくとも1回は出る」確率を考慮しなければならないことです。そうしないと5個であって「それ以上でない」ことが保証されません。
手順としては、

  1. ある5つの数字を想定して全く出ない確率を求める
  2. 他の95個の数字が少なくとも1回は出る確率を求める
  3. 上記a、bをかける(2条件が同時に起こる)
  4. 100個から5個を選ぶ選び方の数だけ、上記cを加算する

となります。この手順bを忘れてしまうと、6つ以上の数字が「全く出ない」ケースを含んでしまうので正しくない訳です。
では手順どおり計算してみましょう。

2.確率の計算

手順aから順に計算してみましょう。
ある数字が1回の抽選で出ない確率は、

99/100=0.99

ですから、270回続けて出ない確率は、

(99/100)270 ≒ 0.0663

です( ≒ はニアリーイコール。「ほぼ」とか「約」と思って下さい)。

ところで、電卓で270乗を計算する方法知ってますか?
知らない人はここをご覧下さい。

この現象(数学では「事象」といいます)が5つの数字において同時に起こる確率aは、

a=((99/100)270)5 ≒ 1.281×10-6
(=100万分の1程度の値)

次に、bを計算します。ある数字が270回の抽選で少なくとも1回は出る確率は、

1−(99/100)270 ≒ 0.9337

これは、前回も使った方法ですが「少なくとも1回出る」確率を求めるためには、「全く出ない」確率を求めて1(=100%)から引けば良かったんですね。
さて、これが95個の数字において同時に起こる確率bは、

b=(1-(99/100)270)95 ≒ 0.0015

そして、a、bが同時に起こる(270回の抽選である特定の5つの数字が全く出なくて、他の95個の数字が少なくとも1回は出る)確率cは、

c=a×b=((99/100)270)5×(1-(99/100)270)95 ≒ 1.894×10-9
(=10億分の2程度の値)

これで、cまでできました。次はdですが、少し説明しましょう。

3.組み合わせの求め方

組み合わせの数を計算するのはやや面倒ですので、こちらで説明します。
知ってる人は次の4に進んで下さい。

4.問題の続き

さて、本題の続きです。100個の数字から5個を選ぶ選び方dは、

d=1005=(100×99×98×97×96)÷(5×4×3×2×1)=752,875,270通り

ですね。これで、材料がそろいました。
確率cで起こる事象がd通りあるので、求める確率はc×dです。

c×d ≒ 1.894×10-9×752,875,270 ≒ 0.14256

5.考察

さて、問題の確率は14.256%です。
まあ、ときどき起こり得るといったところでしょうか。
では出ない数字が4つや6つの場合はどのくらいの確率でしょう。
下のグラフを見て下さい。

出ない数字が3個から10個の確率を合計すると、約98%になります(グラフで色の薄い部分。また、1から100まで合計すれば当然100%)。つまりほとんどのケースで3〜10個の出ない数字があるわけです。

今回も、別に珍しくないという結果になってしまいました。逆に全ての数字が少なくとも1回は出る確率は、0.105%と滅多に起こらないことがわかります。
もちろん、出てない5つの数字が今後最も出やすいなんてことは、絶対にありませんので、ご注意を...

これで第7回の内容は終わりです。
次回はナンバーズの抽選300回を記念して300回の出目を検証したいと思っています…と、ある方にお話ししたのですが、第300回の抽選は10月ですので、それまでに何回か別の題材を考えます。

1997.07 DEM.
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